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罪と罰 ドストエフスキー著 工藤精一郎訳 [本の紹介]



(これから読もうとしている人へ)
1人のロシア人には、3つの名前がある。正式名、通称名、愛称名だ。必ず3つ使われる訳ではないが、混乱する事もあろうかと思う。だから、人名に関してはメモを取るか、表紙裏にボールペンで書いておいた方が良い。また、ある人が「罪と罰・人物相関図」を作ってあるので、この図を印刷して表紙裏に挟んでおくと読みやすくなる。

罪と罰・人物相関図
http://www013.upp.so-net.ne.jp/hongirai-san/kids/t-soukanzu.html


(途中で挫折した人へ)
小説には向き不向きがあるので、読むのを止めたからといって恥ずかしいことではない。特にこれは自問自答が激しい。だから、主人公の思考に付いていけない人なら、相性が悪いということで止めて正解だと思う。文豪が書いた、世界中が名作だと褒め称える本であったとしても、だ。



評価:3
 ネタバレが含まれているので、これから読もうとしている人はこれ以降は見ない方がいいです。
 平均的な評価、というのではなく面白いところとそうでないところの落差が激しいので3とした。


(この本の悪い点)
 読み終える迄に酷く疲れる。その原因は、上下巻合わせて950頁という量にあるのではない。エピローグを除いて、粗半分が会話文かと感じられるほど喋っているシーンばかりだからだ。皆さんの周りにも居るだろう。頼みもしないのに勝手に喋り捲る人。そういう人と長時間付き合わされた後に感じる疲労感と同じものがこの本の読書には付き纏うのだ。
 私の想像ではあるが、この著者ドストエフスキーは恐らくかなりのおしゃべり大好き人間だったのではなかろうか。それも、周囲から「くどい」とか指摘されてきた悪質なタイプのような気がした。例えば、母からの長い手紙をラスコーリニコフが受け取り、その内容が記述されるのだが、前もって言い訳がしてある。

「封を切った。二十グラムをこえる、ひどく長文の手紙で、二枚の大きな便箋に細かい字がびっしり書きこんであった。 《わたしのかわいいロージャ》(以下、省略)

 この手紙、余りに長いのでページ数を数えてみたら実に17頁強。A6サイズなのでA4なら確かに2枚に収まらなくはないし、ロシア語なら尚更可能なのかもしれない。しかし文庫本の大きさの字で17頁もの手紙なんて、日本人ならちょっと考えられない。鬱陶しいとすら捉えるだろう。まあ、この手紙の内容は後半も重要な意味を持っているのでゆっくりじっくり、人物名を頭に叩き込むか、(自分の本なら)マーキングしておくことをお勧めする。まあ、こんな感じで極端に長い箇所がちらほらと散見されるのだ。
 例えば、マルメラードフの法事で妻カテリーナ・イワーノヴナがアマリヤ・イワーノヴナを挑発し罵って最後には掴み合いの喧嘩になるのだが、本編との関係は薄い。また、肩書きをひけらかしたり、人種を嘲笑ったり、と趣味に合わない。
 レベンジャートニコフがピョートル・ペトローヴィチに新思想みたいな話をする箇所がある。妻の不貞は精神の独立の証明だとか、コミューンだとか、自由結婚だとか。これらは全部無駄。5分利証券の箇所を、その後活かしたいが為に無駄話を書いたに過ぎない。
 スヴィトリガイロフが最後ホテルで少女と会うが、何故、こんなにもこの作家は少「女」を登場させたがるんだろう。濡れていたから服を脱がせるのも結構だが少年でも別に構わないだろう。ああ、寝たふりをしていたが実は起きていてその目が娼婦の目付きだったとか書いてあるから、この時代のこの土地の病んだ一面を印象付けたかったからと言えなくも無いが、そんなのは過去に嫌というほど登場させたんだからもう充分だろう。このシーンも、本編とは無関係。
 ポルフィーリイ・ペトローヴィチから明確に犯人はお前だと指摘され、フラフラになりながら、事情を知っているスヴィトリガイロフの元へ行くラスコーリニコフ。再会するも相手は事件には触れず、延々と女ったらしである自身の正当化と持論の展開。普通なら、そんな状況なら相手の発言を遮って本題に入るだろう。しかし、何故か主人公はこのスヴィトリガイロフのお喋りにお付き合いする。通常じゃ考えられません。
 ラスト、警察署へ出頭しに出向いたラスコーリニコフに対し、これまた火薬中尉の無駄話とそれを聞く主人公。いい加減にしなさい。



(この本の良い点)
第一部からいきなり殺人計画と下見が始まる。殺人のシーンは読者も鼓動が高まる筈だ。
第二部、錯乱状態の人間の心が良く描けている。
第三部、ポルフィーリィの誘導作戦が見所、らしい。私は余り印象に残らなかった。
第四部、ルージンのショックが痛々しい。後半はポルフィーリィとの2回目?の対決。
第五部、ピョートル・ペトローヴィチがソーフィヤ・セミョーノヴナを陥れようとした理由が判明。カテリーナ昇天。
第六部、スヴィトリガイロフの自殺と、ラスコーリニコフの出頭。

ところで、スヴィトリガイロフってどうして自殺したの?下男や妻の死に罪を感じて?ロージャとの肉体関係に失敗したから?まさか、ね。誰か教えてください。



(感想)
短く、うまく纏まっていたら評価は5だった。私が無駄に感じられた箇所も当時のロシアでは受けていたから名作になったんだろう。
書棚から35mmのスペースが新たに生まれた、つまり読破してこの本を捨てることが出来た事が何よりも嬉しい。
まあ、一度は読んでおいて損はしないと思う・・・かな。自分のためというより、読書好きの人との共通の話題にはなるだろう。

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